2022年6月29日
こんにちは
前回の長女のコラム『ファイティングロード』
の次のコラムも中々面白いので紹介します
今回は少し長めで1500字です
『気になるあの子』
三か月前。私は御茶ノ水にいた。どことなく洒落た空気に包まれるこの街が結構好きで、ふらっと遊びに来てしまう。中でも、御茶ノ水と言えば楽器屋で、管楽器はもちろん、弦楽器に、鍵盤楽器、ここなら何でもそろっている。元吹奏楽部員の私は、ショーケースに並べられたたくさんの楽器を見るだけでわくわくしてしまうのだ。高校生の時はユーフォニアムを吹いていたことだし、大学生になったら、また楽器を始めようかな。今度は経験ないのがいいな。こんなことをぼんやり思い続け、気がついたら大学三年生になっていた。もし、未来のパートナーに会えたらいいな……なんて淡い期待を抱きながら私は楽器屋に足を運んだ。
クロサワ楽器。四階建ての建物は少し窮屈だがフロア一面に楽器が飾られている。これ、友達が使っていたメーカーのだ。なんてちょっと知っているつもりになりながら、階段を登っていった。
三階。顔を上げるとあの子と目が合った。この場所であの子は誰よりも輝いていた。刹那、私は恋に落ちた。右から二番目のあの子。長いスライドにすらりとしたフォルム。ベルの色は横に並ぶカナリア色の子達とは異なり、あの子だけ少し赤みがかっている。どうしよう。めちゃくちゃタイプだ。これが一目惚れってやつなのか。触れてみたい。だが、店員さんに試奏を頼もうにも仏頂面な上に忙しそうだ。変なところで臆病な私は話しかけづらいオーラに負けて、店を後にした。
他にも楽器屋はある。あの子以外にも素敵な子はいっぱいいるだろう。そんなことを思いながら別の楽器屋にも入ってみた。だが、どうしても、さっき目の合ったあの子が忘れられない。忘れようとしてもあの強烈な印象が脳裏に焼き付いている。二軒目なんて、お店に入っただけで正直何も覚えていない。ずっとあの子のことを考えていた。私は意を決し、もう一度会いに行くことにした。
クロサワ楽器三階。右から二番目のあの子はやはり輝いている。もう、なりふり構っていられない。
「あの子、試奏させてください」
仏頂面だった店員さんは笑顔で楽器を取ってくれた。
楽器を手に取ってからずっと私の胸は高鳴っていた。チューニング管を肩にのせ、スライドを持ったら気分はプロ奏者。だが、この楽器は全く経験がなく、そもそも音が出せるかわからない。でも、もし、もし、一発で音が出たら私のものにしたい。神様お願い。不安と願望が入り混じりながら息を吹き込む。
音が鳴った。曇りのない透き通った音がまっすぐ飛んで行った。正直、部活に励んでいたあの頃よりもきれいな音が響いた。
「この子買います」
迷う余地なんてなかった。
こうして私は惚れたあの子を自分のものにした。人生初の二ケタ万円の買い物。でも値段なんて関係ない。私の心は最高にときめいている。この先、どんな音をこの子と奏でていけるのだろう。何十年先もずっと一緒にいられたらいいな。運指も何もわからないけどこれからよろしく。私のトロンボーン。
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